暖炉の前で名画と再会する縁

2011.10.29

路面電車に揺られ、昭和初期の名建築・豊橋市公会堂を眺め、吉田城跡を散策するなどして市内観光を楽しみ、ホテルに戻ってきた私は、炎が燃え盛る暖炉の前に落ち着いた。このホテルには、ガスの炎が揺らめく暖炉がバーの中央に置かれているのである。その炎を眺めながら、ときに私の席から見える絵画に視線を送った。地元・豊橋に生まれた森清治郎の名作『ガルタンプの流れ』である。フランスのガルタンプ川が、中世を思わせる町の風景とともに描かれた風景画である。

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私は、この絵画を以前に見たことがあった。確か、ホテルオークラが開催したチャリティ美術展で、アンケート用紙に最も印象に残った作品のひとつとして挙げたものだった。比較的大きな作品で、描かれたその町に自分が吸い込まれていくような感じを覚えたのである。その名画とここで再会を果たすとは夢にも思わなかったが、それとともに、私はもうひとつの縁を考えていた。アークリッシュ豊橋の存在を知ったのは、関西を旅したときだった。旅先で見た新聞にこのホテルの小さな広告が載っていたのだ。どんなホテルか見当もつかなかったが、名前だけは手帳に書き止めていた。それからしばらくして、東海方面の旅行を思いついたとき、このホテルの名前を思い出し、ネットで検索、ちょっと面白そうなホテルだと感じ、利用するに至ったのである。もし、その新聞広告を見ていなかったら、こんな形でこの名画に触れることはなかっただろう。





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